台湾をめぐり米中の対立が激化するなか、米軍用機が台湾に着陸することが増えている。中国政府は警告的なメッセージを発しているが、報復行動は取っていない。専門家は、中国共産党は米台の接近について、もはや「口で言うだけ」しかできないと指摘する。
自由時報など複数の台湾メディアによると、米空軍C-130輸送機が7月19日、フィリピン・マニラ空港を経由して台湾北部の桃園空港に着陸した。自由時報は20日、前日到着した米C-130輸送機について、駐台アメリカ大使館に当たる米国在台湾協会(AIT)の「任務専用機」であり、詳細は機密事項になると報じた。
6月には2度、米軍用機が台湾に着陸した。15日、米空軍「C-146-A(ウルフハウンド)」が台湾北部・松山に着陸し、米国在台湾協会に外交文書を届けた。C-146-Aは、民間人に偽装した特殊部隊員を搭乗させる特殊作戦機として知られている。また、6日に米上院議員3人を乗せた輸送機を台湾総統との会談に派遣した。
中国国防部は「米国は火遊びをやめて、直ちに挑発行為を中止せよ」と警告メッセージを発した。しかし、中国側にとって、米国による台湾接近に取る手立ては少ない。台湾に対する圧力を強めれば強めるほど、米台は正常な外交・軍事交流を進め、国際社会からの非難は免れない。
台湾バイオテクノロジー開発センター会長の涂醒哲氏は大紀元の取材に対して、中国は軍事的行動も取れず警告的な言葉を発するだけだと語る。
米台関係が深まるにつれて、米軍艦や米軍機も、台湾着陸が慣例になるのではないという予測もある。米保守系シンクタンク「プロジェクト2049研究所」の上級研究員イアン・イーストン氏は、今回の台北着陸を「(米国の)大胆な政治的行動で、重要なマイルストーンである」と評価した。イーストン氏は大紀元とのインタビューで「台湾は中国共産党に包囲され孤立しているため、こうした外交的支援のジェスチャーは非常に重要だ」と語った。
台湾との関係強化は、共和党と民主党の間で、中国共産党がもたらす脅威に対抗するとの共通認識が得られた結果である、と涂氏はみている。台湾の元厚生相であり、国会議員でもある涂氏によると、現在、両党は「中国共産党に全世界を破壊させてはならない、特に台湾を破壊させてはならない」という点で一致していると述べた。
トランプ政権の友好的な姿勢を引き継ぎ、米バイデン政権は政府高官の派遣やワクチンの寄贈、経済協議の復活など台湾への支援を強化している。米通商代表部は6月30日、台湾との貿易投資枠組み協定(TIFA)に基づく協議を行うと発表した。4年8カ月ぶりの再開となる。
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